東洋の造形
吉永邦治著
存在の意味などを網羅
東洋にたどり着いた東洋的な図像の意味を探る。ここで取り上げたテーマは飛天(苦衷を飛翔する神)、金剛力士、獅子、摩竭魚(まかつぎょ=深海にすむ怪魚)、龍神、迦楼羅(かるら=霊鳥)、蓮華と唐草、霊芝雲(生命力のある茸=たけ=の形をした雲)でいわば仏教の脇役的なシンボルばかり。
これらについて起源、役割、性格、存在の意味などを網羅している。「東洋の」といいながらエジプト、ヨーロッパにまで著者は視点を運ぶ。しかも文献にばかり頼らず、フィールドワークを重ね、その成果としての図版も多彩で読書を楽しませる。(理工学社・3502円)