遍歴の快挙

遍歴の快挙

原 國 政 哲

 訪印当初の頃、菩提樹の一葉の栞が彼のお土産でした そんな朴訥な中に純枠さと誠意が感じられて、互いの虚心坦懐な気持が連なって現化に至ったものです。
 いったいに元来が勇壮と逞しさを誇りとする薩摩人の本領も与ってか、あの東西交流の路を腕筆を振るってものする表現には、真向から迫る心意気が溢れています。
 やがて得度の行も遂げ敬虔の念の深まりと共に、己れの道を得た研究と発長の度重なる展開を見せました。
 またそれらの内容は教育にも注がれ、昨今危惧されがちな人間性の恢復の糧にも資するものと目されます。
 かくてこの遍歴の求心性がもたらすその信憑性は、真の意義と事の深さを髣髴と浮ばせ、吾人になお一層の探究とその展開を即位させて止まないものがありましょう。

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