日本文化源流求め
仏教画など60点 油彩、鉛筆、墨、多彩に表現
明石在住吉永邦治さん個展 南あわじ
日本文化の源流を求めて世界を旅する画家、吉永邦治さん(69)=明石市の個展が、南あわじ市松帆西路の「市滝川記念美術館・玉青館」で開かれている。インドや中国、カンボジアなどの地域色豊かな仏教美術、伝統文化に根ざした人々の生活模様などを、油絵や鉛筆、墨絵など多彩な技法で表現している。12月15日まで。(長尾亮太)
吉永さんは鹿児島出身。高校卒業後に東京の専門学校で建築やデザインを学び、ドイツに渡って西洋の芸術を研究した。帰国後は高野山大学で仏教美術を学び、東洋の世界観を追求。シルクロードなどを旅し、心動かされた情景を残した。
展示作品約60点のうち、吉永さんが特にこだわるのが、天女とも呼ばれる「飛天」。吉永さんによると、飛天の絵は中国を経て日本に伝わる過程で、空中を舞う伸びやかさが失われてしまったという。会場では油絵や墨絵に加え、布に飛天を描いてつるし、風を送って伸びやかに舞う姿を表現した作品もある。
鉛筆画で目を引くは、「仏涅槃図」。横10.5メートル、縦1.4メートルの紙に、釈迦の死とそれを嘆く弟子の姿を、力強いタッチで描いた。筆圧をかけたため、膨大な数の鉛筆を使ったという。
チベットの寺院で目にした曼荼羅や僧侶を表現した抽象画や、黄緑色に輝くメコン川の夕景、中東男性の柔和な笑顔、アフリカの街角の絵が、異国情緒をかき立てる。
吉永さんは「世界各地と日本との文化面のつながりを感じてもらえたらうれしい」と話している。11月10日午後2時から吉永さんのトークイベントを開催。大人500円、高校・大学生300円、小中学生200円。午前9時〜午後5時。月曜休館。同館TEL0799-36-2314