1984年11月18日(日) 朝日新聞

1984年11月18日(日)朝日新聞画像

よみものガイド

白と赤の十字路

吉永邦治著

西から東へ。広い世界に美と人間を求めてさすらった著者の若き日の体験記。題名は大宇宙と自分が交わる点という意味をもち、インドに至ってはじめてこの十字路を自らの心のふるさと、想像の源と自覚したことが語られる。柔軟な姿勢と行動力で異民族とのふれ合いを求めていくところに新鮮さがあり、美しいものは美術館専属ではなく、どの土地にも人年生活の生命の息づく中に存在している、ということばには実感がこもっている。写真が豊富。(京都書院刊・二、八〇〇円)

 

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